ダブル王子さまにはご注意を!
「申し訳ありません、真由理さま。本日よりしばらくは外にお出にならないでください、とのことです」
担当看護師のマリエラさん(彼女は看護師免許を持ってた)に、そう告げられたのは散歩に行こうと支度をしていた時で。
「え、なんで? マスコミなら敷地内に入れないようにシャットアウトしてんでしょう?」
「いいえ。患者のふりをしたりフリーのジャーナリストまでは制限できません。それに、最近はSNSで誰でも情報を発信できる時代です。あなたの写真入りで事実無根の情報が出ても、止める前にあっという間に拡散してしまい、消しようがありませんから。申し訳ありませんが病棟より外への外出はお慎みください」
「……え~~マジですか……」
椅子の上にぐったりと座って、はあと盛大にため息を着いた。
「退院はできないわ外出まで取り上げられて……私に籠の鳥になれってか? 柄じゃないわ」
「申し訳ありません」
マリエラさんは恐縮して頭を下げてくるから、ぱたぱたと手を振ってやめてーと言った。
「いいって! あなたが悪いわけじゃないし。あのバカ夏樹のわがままなだけだからさ。
今度あったらぶん殴らなきゃね」
……って。そういえばやつにはファーストキスまで奪われてたんだ。あまりにも突然で記憶が曖昧になってたけど。あの後も何回か……。
あまりにも悔しくて、震えながらぐっと拳を握りしめてたら。
「真由理様、発作ですか!?」
マリエラさんや……真面目な顔で心配しないでくださいな。