ダブル王子さまにはご注意を!
「わたくしが知る限り、レオン様が宝石の類いを購った、または贈られたということはありません。ましてや当時は6つの子どもが誰にも内緒でそのようなものを用意できるものでしょうか?」
「……確かにそうだけど」
ちらっと一樹を見れば、やっぱり綺麗な美女そのもの。だけど男なんだよね……。
「なら、郁美が嘘をついたということだな」
「やっぱりあんたが恋人だから、約束したって思わせたかったんでしょ?」
「オレは恋人など持ったことはない。これまでも……これからもな」
一樹がきっぱり言い切ると、やっぱり胸が痛む。全然見込みがないんだ……とわかってしまって。
それより、と私は一樹をじろりと睨んだ。
「なんであんたそんなに女装が似合うの? 私より美人だし」
「好きでしてる訳じゃない。夏樹の護衛役を務めることもあるからな。カムフラージュのためだ」
「カムフラージュ……」
それだけのために女装? くそう、それにしては胸のボリュームが私よりないか? と自分のバストに触れてハッと気付いた。
「ペンダント……なくなってる」
「……やはりな。郁美が盗んだ」
一樹が緊張感の欠片もなくのんびり答えるけど、私はついつい怒鳴ってしまってた。
「やはり、じゃない! 大切なものなの。絶対取り戻したいから。お願い!」