ダブル王子さまにはご注意を!




「残念、私もちゃんと好きな人がいます。だからあんたたちを好きにはならないから安心して」

「……そうか」


心底ほっとした一樹の顔に、彼らは女性関係で本当に苦労してきたんだなと思う。ただ、夏樹は女性をあしらい慣れてたけど、反対に一樹はぶきっちょというか、女性に慣れてない感じ。


たぶん、一樹は一途にそのひとを想い続けて……どんな誘惑があろうがきっぱり断ってきたんだろう。10度目の手痛い失恋をしたばかりの私からすれば、うらやましいことこの上ない。


(どんな素敵なひとなんだろ……ひとりの男性をここまで虜にする女性って)


何だか見てみたい気がする。もしかすると子どもの頃から一途に想い続けるという恋愛の行く末を……。


何度も失恋しながら懲りずに違う人を好きになる私には、そんな物語のような大恋愛があるなんて信じられなくて。


「……わかった。私でよければ手伝うよ。その代わりたまには部屋には帰らせてね」


小市民な私はだだっ広い部屋は落ち着かない。やっぱり数年間住み慣れた我が家が一番。その意味を込めて話せば、一樹は「わかった」と返事をしてくれた。


「困ったことがあれば遠慮なく話してくれ。オレ達の秘書兼バトラーの春日(かすが)に伝えておく」

「バトラー?」

「オレたちの執事だ。幼いころから世話になってる」

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