ダブル王子さまにはご注意を!
「おはよう、真由理。一樹」
「ふぁい……」
「……ああ」
今日も今日とて出来るイケメン様は、オサレな朝食をフルコースで用意して下さった。
昨夜ふたりが双子であることを知らせたせいか、夏樹も一樹も隠すつもりはなさそう。見事に瓜二つな顔が並ぶけど、表情が丸きり違うから見分け易い。
いつもニコニコ笑顔でフレンドリーな夏樹に対して、一樹は笑うのが損とばかりにムスッとしてる。今朝もまったく笑顔もなく、黙々とトーストをかじって経済新聞を読んでた。
滞在3日目となれば昨日よりは慣れたけど、やっぱり顔も洗ってないボサボサ頭のまま。服もしみつきの毛羽だったグレーのスエット……。
(さ、さすがに恥ずかしいっての)
昨夜はお店から一樹と一緒に帰ってきて、何とか風呂にだけは入ってそのままベッドにバタンキューしたんだっけ。
夜ご飯を食べた記憶が無いからか、やたらにお腹が空いて食が進む。一樹からいろんな話を聞いて落ち着けたせいもあるかも。
「ことに、真由理の今日の予定は? 昼の3時までN社で新製品に関する勉強会だっけ?」
「ぶっ!」
「わ、危ね!」
夏樹の言葉に口にしたばかりのカフェオレを吹き出しそうになり、向かい側の一樹が慌てて自分の皿を避難させた。
すいませんね! 粗忽で。