ダブル王子さまにはご注意を!



「ちょ、一樹!あんた何てことを……あれ?」


弟が失礼なことを言ったにも関わらず、夏樹はカフェオレを手に悠々と新聞に目を通す。 まったく気にしてない様子に、一触即発かと身構えたのが無駄になった。


「気にしないでください。突っかかってくるのが彼なりの親愛表現ですから」

「……気持ち悪い」


一樹は夏樹の発言をバッサリ斬り捨てるけど、兄だけあって夏樹の言うことは一理あるかもしれない。


「なら、なんで一緒に住んでるの? そんなに嫌いなら別の場所に住めばいいでしょ。お金はあるんだろうし」


当然思ったことを言えば、一樹はしかめっ面でこちらを見た。


「仕方ないだろ。じい様の許しがないし、別々に暮らすよりは節約になる」

「節約?……ここに住めるあんたがそれを言うの?」


ぐるりと見渡してみると、フローリングのダイニングルームだけで20畳ほどの広さがある。テレビ台が置かれる場所や冷蔵庫の設置部分はまだ空きがあれど、他は年代ものの棚や調度品がどっしりと配置されてる。

一等地の6LDKマンションなんて。賃貸にしたってうん百万は掛かるだろうに。そんな場所に住めるセレブ様からまさか節約だなんて庶民的な言葉が出るなんて予想外だった。


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