ダブル王子さまにはご注意を!






「はじめまして、真由理の友達の佐々木 香織で~す」

「…………」


朝、8時。まさか冗談と思ってたのに、香織はマンションまで突撃してきた。


常駐のコンシェルジュや警備員がいる高級マンションなのに、どうやって入ったかと言えば……イケメン様を直に呼び出すという大胆不敵さ。


執事である春日さんやハウスキーパーが来るのは8時過ぎで、それまで幸村兄弟は自分のことは原則自分でする。それがあだになったのか、ちゃっかり香織はマンションに乗り込んできた。


とはいえ、香織は良くも悪くも私よりは女性らしい。今だって栗色のボブを緩く巻いて、自然なメイクを施してる。

服もデニムのローライズパンツと、黒のビスチェを組み合わせて。白いレースのシャツを羽織り、アクセントにおおぶりのネックレス。足元はラインストーン入りのストッキングに、ショートブーツを履いて。甘さと大人っぽさを兼ね備えたファッションをしてる。


これだけ完璧な女性なのに、私みたいなズボラ女の友達をしてくれるのは本気で奇跡と思う。


「ていうか……あんたほんとに8時5分前に来おったね」

「5分前行動は基本でしょ」


カラカラと笑った香織は何の躊躇いも見せず、どんどんと進んでいつの間にかダイニングのソファを陣取った。その肝の座りっぷりは流石ですな。


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