ダブル王子さまにはご注意を!
「で、手がかりや情報は?
プライベートな問題だから、躊躇う気持ちもわかるけど。そんな猶予はないでしょ。判る範囲で全部教えて」
流石ですな……香織女王様。イケメン様だろうが、セレブだろうが無関係なマイペースっぷり。
「実はほとんど判ってないのが現状です。僕たちがこの街に住んでいたこと、幼稚園までは通っていたことくらいしか」
夏樹の話に当然香織は突っ込みを入れた。
「市内の幼稚園と保育園には当たってみたの?」
「もちろん。すべて調べていただきましたが、僕たちの名前はないとの答えでした」
(あ、もう調べてたんだ)
夏樹と一樹にその疑問をぶつけたことはあるけど、そりゃ当然真っ先に調べてもおかしくはないよね。なら、と香織は次の方法を探る。
「住んでた場所は? ていうか親御さんに訊けば住所くらい判るでしょ。最悪市役所に行けば……って。そういえば今まではどこに住んでたわけ?」
すごすぎる……ていうか。香織のあまりの唯我独尊っぷりに、思わず口をあんぐりと開けてしまった。
「親は今ちょっと海外にいるからね。ちょっと待って」
夏樹はスマホを取り出すと何やら電話をかけ始めた。