ダブル王子さまにはご注意を!
「勝って嬉しいはないちもんめ……と」
「まゆちゃん、こんなのつまんないよ」
「ええ、だってあたしと――ちゃんしか居ないもん。仕方ないよ。じゃあ、なにしてあそぶ?」
「じゃあ、かくれんぼしようよ!」
「わかった。じゃんけんしよう、最初はぐー、じゃんけんぽん!」
「やった、勝った~まゆちゃんが鬼ね!」
「ふんだ! 絶対、見つけるもん! じゃあいくよ~い~ち、に~ぃ……」
☆☆☆☆☆☆☆
「……あれ?」
ふと目が覚めた時に目を瞬けば、見知らぬ天井が視界を占めてた。
自分がどこかに横になっているとゆっくりと理解したのは、何分経った後だろう。手首には点滴らしい管が繋がれ、真っ白な部屋にたぶんここが病院だと察する。
「真由理~気付いた?」
泣きそうな顔の香織が覗き込んできて、そういえば彼女と会ってた休日だったとゆっくり思い出す。
「はれ? 私どうしたの」
「あんた、宝石を買ってる途中に急に気を失って倒れたんだよ。夏樹が病院へ運んでくれたの。身体に異常はないけど、気づかないから念のためって点滴中。よかったよ気づいて……」