守神と大黒柱と示指?
第1章・守り神の愚痴

1.守り神の愚痴

「わしは、この家の守り神じゃ。」

「・・・」

今まで、この大黒柱一家を一生懸命支えてきたのに。

それを忘れて!

たった1回、わしが天国に出かけていたから事故にあった、とネチネチ文句を言っている。

神が、どこかに行くのに、大黒柱にお伺いを立てて行く必要がどこにある。

半年も前のことで、言いがかりをつけてくるのじゃ。

今日はいつもより文句が長いようじゃ。

「まぁ仕方がないとあきらめてくれ」と守り神。

いいたい放題できるようじゃのう。

大黒柱の格好は、普段着のままで、家にいるようじゃが。

今日は休なのかのう。

他には誰もいないようじゃ。

休日なら、ゆっくりとしていれば良いのに、文句ばかり言っている。

「そうか、そうか大変じゃのう!」

大黒柱は、自分の言葉に酔ってきているのか、段々過激な言葉になっている。

「そんなこと言わんで、もう少し頑張れ!」

どんなことを言っても自業自得じゃからのう。

「まだ、分からんのか?自分のミスではないか」

自分のことは、自分で解決せんとのう。

それは、いくらなんでも無理じゃ。

「…わしが使えるのは神通力だけじゃ!」「魔法は、使えんので、元に戻すようなことはできんのじゃ」。

「普通の人間にはわしの姿は見えんのじゃが、この家の大黒柱には見えているようで、困っておる」。

普通の人間には見えないし、存在も分からないから、話もできないのが普通なのじゃが。

向こうの方で、大黒柱がこっちを見て、興奮する度にびっくりした顔になるが、興奮を抑えようとか、逃げ出すようなことはしない。

やっぱり、大黒柱が感情的に興奮してくると守り神であるわしが見えてくるようじゃ。
どうして、大黒柱には見えるのだろうか?

しかし、不思議じゃ。

大黒柱自身にそんな能力があるとは思えないのじゃが。

特別なことが起きたのじゃろうか?

左手を包帯で巻いているが、何か関連があるのじゃろうか?

左手が少し光っているようじゃが。

あるとすればあの時の事故?

大黒柱は、極端に驚いているようでも無いので、そのままにしておこう。

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