守神と大黒柱と示指?

2.切断直後の示指

突然ですが、僕は「示指」です。

今、誕生したばかりのようなので、よろしくお願いします。

皆さんはどうしてここにいるんですか?

今日は、いつもよりも暖かな日和ですね!

そういえば、下が冷たいです。

気が付くと、「僕」は第二関節から、切断されて地面に落ちて転がっているようですね?

指先の感覚で、コンクリートの上だとわかります。

硬くて痛いので、どなたか早く拾ってくれませんか?

向こうの方で、大黒柱と呼ばれている男が左手の人差し指の付け根を押さえながら慌てています。

多分、「僕」はその人の人差し指だったのでしょう。

でも、なぜ、意思があるんでしょう???

丁度、そこに守り神さんが急いで現れ、大黒柱を見て呆然としていました。

守り神は、ガックリと膝をついています。

一部始終を見て知っていたようです。

「僕」が、「守り神さん、教えてください」と声をかけたら。

「ちょっと待って! 急いで天国から帰ってきたから、息が上がった。

苦しい~!」と、守り神さんが倒れこんでしまいました。

「守り神さん、深呼吸!」と示指。

守り神さんは「スー、ハー、スー、ハー」して、やっと落ち着いたようです。

「さあ、何じゃろうかのう」と守り神が示指に向かって言うと。

「僕」は、大黒柱の左手の人差し指の第二関節から切断されたので、大黒柱から分かれてしまいました。

それはそれで仕方のないことですが、「何故指だけで考えることができたり、テレパシーのように守り神さんと会話ができるのでしょうか?」と示指が言うと。

守り神がゆっくりと言い出した。

守り神は「それは、示指が何らかの役目を持って生まれてきたのだ」。

「この世の中には、まったく役目を持たないで生まれてくる生物はいないのじゃからのう」。

「今は、はっきりした役目は見えないが、そのうちきっと役目が見えてくるはずじゃ」。

「それまで、待つことじゃ」。

「しかし、生まれてきた者を何故に生まれたと問うのも妙なことではあると思うが」。

「どうじゃな!」

生まれ出た以上、頑張るしかないのでは…。

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