守神と大黒柱と示指?

3.大黒柱の夢の中へ!

守り神は、物質を素通りできる能力があるので、外壁を通って大黒柱のベットの方まできた。

歩く音はせずに、浮いて移動しているようだ。

大黒柱の傍に立つ守り神は、杖を大黒柱の額に近づけた。

その瞬間、守り神の姿は杖を通して大黒柱の額に「シューッ!」と吸収されていった。

守り神は、大黒柱の夢の中に入り込んだ!

大黒柱の魂を目覚めさせ、肉体はそのまま寝かせている。

大黒柱の夢に入って、印を付けているのじゃ。

さらに、呪文を言って。

今起きていることも、夢として記憶するように仕掛けをしているのじゃ。

少しして、大黒柱の眠っている肉体の額から守り神が出てきた。

守り神は、先ほどと同じ位置に立って、大黒柱の魂に呼びかけた。

「もう、わかったじゃろう?」と守り神が大黒柱に言った。

さらに「設置されていた指の切断防止装置を自分で外していたのじゃ」と大黒柱自身のミスを指摘した。

「それを、わしがいなかったから事故にあったと言ったことは取消すじゃろう」と取り消しを要求した。

大黒柱は「わかった!」と言いながらも、謝ることはなかった。

優しい守り神は、それ以上大黒柱を責めることもなく、元の時間に戻す呪文の準備をした。

「では、元の時間にも~どれ!」と、守り神が言って、杖をぐるぐる回しはじめた。

そうすると、まわりの空気がすべてピタッと止まった。

見えているすべての風景が、一枚の絵のようになった。

絵の真ん中を中心に、ゆっくり逆回転しだした。

段々とスピードが早くなった。

早く…早く…。

さらに、目にも留まらない速さになった。

しばらくして、そこには、停止した大黒柱の家の中の絵があり、その絵が大きくなって実像と重なり合い、全体を埋め尽くすような動きとなって同化してしまった。

動く者は動き、止まる者は止まっている。

大黒柱は、寝返りをして深い眠りへの準備をしている。

眠っている間に時間は進んで、元の時間に戻る。

時間を捻じ曲げるようなことはしていない。

何事も起きなければ良いのだが…。

いつのまにか大黒柱は、ベッドの上で安らかな眠りについていた。

今日はたくさんのことを一人で体験したのじゃから。

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