守神と大黒柱と示指?
▼趣味の回想

趣味は、江戸和竿つくりで、鯨のひげを穂先にして、竿の部分は生竹から手づくりし、漆塗り仕上げをする。

江戸時代からの作り方で和竿を作っているのだ。

職人も高齢化して跡継ぎがいなくなっている。

これに目をつけ、十年計画ではじめれば、定年後には先生ができるようになり、国宝級の和竿も作れるようになるのではないかという大黒柱の大きな野望から始めていた。

しかし、考えると自分も高齢者の仲間入りが近いということを置いて考えている。

竿の材料の竹は、家の中と外に溢れかえっていて、減らないし、整理もしない。

休みの日は家のことよりも、趣味とボランティアを優先して出かけてしまう。

趣味の和竿づくりが半分、ボランティア半分、誤差の範囲で仕事を行っている生活だった。

だから、休みの日こそ忙しい。

妻から、家のことをもう少し考えて欲しいと言われても、誤魔化してきたので、妻には頭が上がらないし、自分勝手な人生をおくってきたようだ。

大黒柱が言うには、和竿作りで重要なのは右手よりも左手で、一定な速度で竹を回すことができなければ、和竿作りをあきらめなければならないだろう。

でも、国宝級の和竿師にはなれなくても、趣味の範囲ではつくっていきたいと思う。

現在は、指のリハビリの状況次第では復活できるかも知れないと思い、道具や竹材はそのまま残している。

捨てることは許さない!
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