守神と大黒柱と示指?

6.恐怖の死神

入院中に何度か襲ってくる「ズン」とする痛みは神経が繋がる時の痛みのようで、その時には大きな回転した丸ノコの歯がこちらに向かって迫いかけてきて、頭上を切断しながら通過するイメージが通り過ぎる。

チェーンソーを持ったジェーソンがチェーンソーの替わりに、電動ノコギリを持って追いかけてくる。

又は、死神が大きなカマの替わりに電動ノコギリを構えて追いかけてくるのだ。

夢のように寝ている時に見るのと違い、起きている時のイメージで、まったく同じ場面が恐怖と一緒にくるのが不思議だ!

今回のことで、痛みにも味があるような気がする。

鋭利な刃物で切った時は、すっぱい痛みのような感覚があり、同時に背筋が凍りつくような恐怖が迫ってくる。

入院した当初は、常にこの怖い死神と痛みが襲ってきた。

徐々にですが、怖い死神の出現する回数が減少してきた。

医者に相談しても理解されず、薬も突発的な痛みを緩和するものは無いとのことだった。

だったら、時間に解決してもらうしか無い。


         *



感心するのが、形成外科の医者の軟膏の使い方で、何日使用すると肉が盛り上がってきますとか何日使用すると皮が絞まるとか的確な日数計算だった。

医者の処方で軟膏が変わると痛みも大きく変わる。

最初の軟膏は、黄色いのもので、肉をつくる効果があるそうなので、肉ができる時にブツブツとした痛みがある。

次は、紫色の軟膏で皮や肉を引き締める効果があるので、結構引っ張られるような痛みがある。

この軟膏での痛みは予測のつく痛みだが、怖い死神はそれとは関係ないところで出てくるので、出現すること自体に恐怖がある。

いつ、出てくるのか考えることが…。
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