守神と大黒柱と示指?

9.退院に向けて!

退院の日の前日、長かった入院生活で、あれもいる、これもいると揃えてしまった各種グッズがベットの回りにある。

退院だからと言っても、手ぶらで簡単に家に帰れない。どうしょう!

明日は、朝の回診の時に一部抜糸してみて、経過が良ければ退院だという。

退院の許可が出たら、歩いて家まで帰って、片手運転で妻を乗せ、病院まで来て、荷物を車に積み込んで帰るか。

病院の前のタクシー乗り場から家に帰るかだが、タクシーの方が楽に決まっている。

入院中は、接合した指は動かないように大きな治具を入れて包帯でグルグル巻きにされていた。

しかし、退院の時には小さな治具に交換してくれるだろうから、ハンドルを回しながら押さえることはできると思えた。

明日の退院のことで頭が一杯で、先生の声もまばらにしか聞こえない。

「外来は、来月の診察日とリハビリの予定を入れておきます」ので、「細かなところはリハビリ室で直接打合せしてください」。

「薬は、忘れないように飲んでください」、「忘れると、神経が伸びなくなりますよ」「それと退院しても、タバコは絶対にやめてくださいと念を押された。

いよいよ、明日退院です。
しかし、まだまだ接合部分に大きな傷があり、痛みもあるので退院したからと言って乱暴に扱ってはいけませんよ。

でも、接合した指はできるだけ多く使うようにしてください。

使わないと指が太くならないので…。

痛みが消えたら使うようにしまう。

皆で接合してくれた指だから…。
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