守神と大黒柱と示指?

4.赤いウィンナーが…

大黒柱が退院して、日常生活に慣れ、包帯を取って数日経ってから。

妻が「赤いウインナーを見ると拾った指を思い出しちゃうよ」と、妻と二人でお茶を飲んでいる時、不意に言い出した。

妻も堪っていたんだと気がついた。

妻からも、切断した指を拾い上げた記憶を吐き出させないと可笑しくなってしまう。

「思い出すとお尻の穴がキューとなるので、当分食べられない」と顔をしかめながら妻が言う。

大黒柱も、あの怖い死神が出てくる回数が段々と少なくなってきたように感じていた。

だが、切断した時のことを思い出そうとすると怖い死神が出てくるので、思い出さないように努力していただけなのでは?

だけど、お互いに記憶の底から出さない限りは忘れることができない。

どちらかが、話題にしないと…。

だけど、大黒柱が知りたくても聞けなかったことが2つあった。

聞けなかったと言うより、話題にすると思い出すので、思い出したくないので聞けなかったと言うのが正しいかも知れない。

ひとつは、切断直後の指の形と切断していた桜の木はどうしたのか?

この2点だが、妻に恐るおそる聞いてみることにした。

大黒柱の方から「指、どうだった?」と聞いたら、妻は「赤いウインナーを見たら、お尻の穴がキューとなるんだから」「その指を拾えって言ったんだよ!」と妻は、同じことを言って責めるような目で見る。

「仕方がないじゃん。後、いないんだから」と大黒柱は言う。

さらに妻が、「指をハッキリ見たのは私だけ?」そう言って、妻は複雑な顔をした。

「長男だって、見ただろう!」と大黒柱。

「そうね!」と少し否定的な妻。

「指、どんな格好で落ちてた?」と大黒柱が聞くと、妻は「血が少し付いていたけど、指の形してたよ!」と言うのが精一杯の感じだった。

大黒柱もそこまで聞くのが精一杯で、自分でも聞こうとすると怖い死神は出ないけれど、冷や汗が出てきてしまった!

いきなり喉も乾いてしまう!

だけど、妻は知っているのだろうか?

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