惡夢
第1章
金曜日の午後。
HRの時間の教室。
目の前の教卓では、担任である倉科直樹が来週の予定を説明している。
真面目に耳を傾けてる子もいれば、半分寝ているような子もいるし、隣とヒソヒソ話している子もいる。
端の席に座る少女、齋藤凛音のように意味もなく外を見つめている子もいる。凛音の右隣では制服の着こなしが少々派手な女子達が話をしていた。
「あー。今日も倉科先生かっこいい。」
「私、HRと倫理の授業だけが楽しみで学校来てるもん。」
「わかる。倫理の担当倉科先生だもんね。そういえば、先生って結婚してんのかな?」
「えー。33歳だっけ?結婚しててもおかしくないよね。」
「でもさ、指輪つけてなくない?」
「確かに。今度聞いてみようよ。」
毎日こんな話ばっかりでなぜ飽きないのだろう、と不思議に思う。女子の話もつまらないし、明日の予定は既に把握しているので聞かなくても問題ない。なので今日もいつもと変わらず、窓の外を眺めているのだ。 
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