惡夢
凛音との出会いは今年の春。勉強のできる生徒だな、としか思っていなかったはずなのに。
お互い、いつから惹かれていったのかなんて覚えていない。もしかしたら、思い出したくないだけなのかもしれない。倉科が覚えてるのは、蝉の鳴いている暑い夏に初めて凛音を抱いたという事実だけだ。
凛音に無理矢理迫られた覚えもあるし、妻と些細なことで喧嘩し苛立っていた覚えもある。特別な愛の無い行為だったはずなのに、初めての行為で顔を歪めながらも、必死に首に抱きついてくる凛音の腕を、倉科は振り払うことができなかった。そしてあろうことか、気がついたらお互い戻れないところまできてしまっていたのだ。
「何が正解か、誰か教えてくれよ…」
呟いた声は、晴天にかき消された。
お互い、いつから惹かれていったのかなんて覚えていない。もしかしたら、思い出したくないだけなのかもしれない。倉科が覚えてるのは、蝉の鳴いている暑い夏に初めて凛音を抱いたという事実だけだ。
凛音に無理矢理迫られた覚えもあるし、妻と些細なことで喧嘩し苛立っていた覚えもある。特別な愛の無い行為だったはずなのに、初めての行為で顔を歪めながらも、必死に首に抱きついてくる凛音の腕を、倉科は振り払うことができなかった。そしてあろうことか、気がついたらお互い戻れないところまできてしまっていたのだ。
「何が正解か、誰か教えてくれよ…」
呟いた声は、晴天にかき消された。