惡夢
第3章
凛音が暫くして目を開けると、シャワーからあがった倉科と目が合った。
「…おかえり」
「ただいま。」
そのままキスを交わす。肌と肌が触れ合う時間だけ、現実を忘れられる。朝が来るのを忘れられる。
「愛してる。」
「俺も、」
 
―prrrr
 
その瞬間、チェストに置いてあった倉科の携帯に電話がかかってきた。
「…ごめん。電源切っとくの忘れた。…着信拒否すると怪しまれるから…」
「出てもいいよ」
「いや、」
「奥さんでしょ。」
倉科の眉間に皺がよる。そう、倉科直樹には妻がいる。それどころか、まだ小さな娘もいるのだ。凛音はそれを最初から知っている。2人がこの関係を後ろめたいのは、教師と生徒だからという理由だけではない。凛音は、倉科の不倫相手なのだ。
 
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