間違いだらけの青春
不登校
「おせえよー!」
「まぁってー!」
前方にある川の方で子どもたちが鬼ごっこをしてる。
すぐ近くで釣りをしている人たちは少し迷惑そうにしているが、注意をする雰囲気はなかった。
川を渡った先のほうでも、皆でキャッチボールをしている人達もいれば、恋人のように二人きりでベンチに座ってゆったりとしている人もいた。
もうすぐ日が暮れそうなのに、皆帰る気配がない。
そして私も、その一人だった。
温かいココアの缶を両手で支えつつ、ベンチで一人ぽつんと周りの人達をずっと眺めていた。
いいな、楽しそう。
どれもこれもやろうと思えばできるものばかりだけれど、私にとっては遠い存在のように感じた。
多分今、私の前に映ってるのは川とその周りにいる人々達なんだけど、その間にうっすらと透明で大きな壁が立ちはだかっているような気がする。
――なんでって言われたら、答えにくいけど。
「あ……」
南高校の制服を着た女子達が私の目の前を横切る。
私のことなどお構いなしに、キャッキャと笑い声を残して去っていった。
私と同じ高校の子だ。
誰かは分からないけれど……。
もう皆、帰る時間か。
がくんと顔を下ろし、膝を見つめた。
今日も学校に行けなかった。
ぽつんとその言葉が頭に過る。
制服を着て、今日こそ行こうと思ったのに。あともうひと押しというところで、ギブアップした。
怖いという気持ちはなかったが、ちょっとやだなって気持ちが強かったかも……。
そんなこんなで結局朝から夕方までここでボーッとしてて、周囲の人々の観察みたいなことしてた。
ダメだ私。このままじゃいけないと頭では分かってるのに、行動に移せない。
不登校になって八ヶ月程。引きこもってたらいつの間にか高校二年に進級してて、始業式は逃すし新たにスタートを決めれず一ヶ月が経つ。
どうしよう。
本当は始業式で一緒に紛れ込んどいたほうがよかったのに。私としたことが……。
その時、ドサッ! と私の隣に誰か気配を感じた。
やば……なんで隣座ってくんの。
他のベンチに目を向けると、明らかに席が空いていることが分かる。
見えてなかったのかなぁ、移動しようかな。
その時、はぁ〜〜と低い溜め息が隣から聞こえてきた。
男なんだ、と気づく。
どうしようキモい人だったら。おそるおそる目を向けると、そこには明らかに私より年上の男性が背中を少し丸くしてだらんとベンチに寄りかかっていた。
男はちょっと色黒で、目と鼻がくっきりとしていて、少し外人寄りの顔つきをしていた。
おっさんとまではいかないが、成人男性だということは分かる。ツーブロックに前髪を七三に分けて、グレーのスーツとか着てるから、どっかのサラリーマンか何かかなと思う……。
ポケットからぐちゃぐちゃになった煙草の箱から一本取り出す。もう片方の手にはライターが握られていて、煙草に火をつけた。
「あっ」
ふとその人を見続けていたら、思わず目が合ってしまった。
やば、気まず――
「あれ? お前、南高の生徒?」
「えっ?」