分かりやすすぎる新島くん
昼休みが終わって、
みんながぞろぞろと席につく。
次の数学の準備を私もしようと机の中を確認すると、思わず声が出た。
「あっ……」
教科書わすれた。
いつもはこんな事ないのに、
新島のことであれこれ考えてたらしい、
うっかりしてしまった。
仕方ない、と思いながら数学のノートを広げていると、視界にずずっと教科書が入ってきた。
詳しくいうと横から。
つまり、
「に、新島?」
「……見たら」
これ、といって差し出してきた教科書。
「けど、そうしたら新島は」
「俺は別にいい」
ふい、とひじをついて顔を背ける。
耳は赤い。
なれない黒短髪がくすぐったくて
思わず見入る。
「新島、」
「……なに」
「真ん中において、一緒に見ませんか」
かしこまっていってみると、
新島の肩がビクリとした。