分かりやすすぎる新島くん













「立花 由乃(たちばな ゆの)って、あんただよね?」







____やっぱり。





昨日の時点でこうなることは予想していたし
実際にこうなってしまった。



昨日のトイレの先輩、3人組。


中心にいるのは、センター分けした髪を腰まで伸ばしている女。


仁王立ちをして、
椅子に座るわたしを見下ろしている。



だから私も、先輩に声をかけられてから
ゆるりと顔を上げた。




「そうですけど、なんですか」




「あんた調子乗ってんの?」





お決まり文句。
喧嘩を売るような目つきと
貶すような唇。



私は、とぼけた。



「乗ってないです」


「新島くんと隣の席だからって、舞い上がってんじゃねえよ」



勝手な思い込みはやめてほしい。


とは、流石に言わないけど。



とりあえず、少し怯えた表情をしてみた。




ちなみに暴露してしまうと、
私は所謂高校デビューというやつをした。


中学まではバリバリの不良組にいて、
夜中なんかによく高校の先輩のバイクに乗ってはしゃいだりした。


喧嘩を売られたら速攻で買いにいくし
でかい態度で警察にお世話になったこともある。



だけど高校を機に、わたしも清楚系の女になろうと決めた。

地味で、目立たない、影のグループ。



興味があったし、実際入ってみると なかなか楽しかった。



地元から離れた高校に進学したし、
中学時代の私を知る人は誰もいない。

だから今まで平穏に過ごしてきたし
これからもそうだと思ってた。







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