分かりやすすぎる新島くん
だけど、
こんなふうに喧嘩を売られると
昔の私が出そうになってしまう。
そうなったら終わりだ。
せっかく清楚になろうと頑張ってきたんだ、
崩すわけにはいかない。
「ていうか、新島くんの気になってるやつって
絶対こいつじゃないでしょ。
たいして可愛くもないのに」
……
「もしこの子だったとしても、
新島くん見る目ないわー」
どっと湧き上がる笑い声。
クラスメイトたちが、なんだなんだとこちらを伺っているのがわかる。
めちゃくちゃ腹が立っている。
こんなに侮辱されて反論しないやつなんているんだろうか。
もう我慢できない。
「ちょっといい加減に____」
「なにやってんの」
ハッと我にかえる。
聞き慣れた声が私の後ろからかかった。
そしてそれには、怒りが混じったような声色で
笑っていた先輩の口が固まる。