うちのお姫様はお祓い様。
「ま、そーゆーことだから。…ほら、帰んないの?」



…私が1番欲しかった言葉を結局言ってくれるのはやっぱり千里君なんだ。




さっきから差し出されている千里君の手を取って言った。



「…帰る。」




でもやっぱり直接ありがとうって言うのは照れるから、
ぎゅって繋いだ手に力を込めた。




「…相変わらず素直じゃないな、うちのお姫様は」


「お姫様じゃない。あ、でも仮に私がお姫様なら千里君は…」


「王子、だな…」


「はははははっ!!せっ、千里君がっ!!!王子様?!」


「そんな笑ってんなよ!!」


「ねえ痛い。…技かけんなくそ王子!」



千里君は爆笑してる私に力考えずに技かけてきたけど、実はこんな風に青春っぽいことできるなんて思ってなかったから、なんかすごく…




「………幸せ」


「は?何だよ急に」


「なんでもなーーい!」


「…あっそ。」



千里君は私の心から出た言葉を聞かなかったふりをして、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。




この後、結局千里君にもう変装すんなってグッズ取られちゃったから、せめて人目に付かないように手を繋いだまま裏門から出た。
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