いきなり花嫁とか、ふざけんなです。
でも、そんなことを言ったってどうにもなりません。

黙っていると、今度はこちらにハルクさんの笑みが向けられます。

……うぉぅ、綺麗ですね。

眩しくて目に毒です。

キラキラという、擬音が聞こえて来そうですよ。

で、その笑みのまま、

「失礼しました、ソフスリー嬢。」

謝ってきました。

……なんででしょう、謝られてるのに、謝られてる気がしない……。


ハルクさんは、続けます。


「無理に結婚しろ、とは言いません。婚約でも構いませんよ。」

「は……?」


いやいやいやいや!

それって一歩も譲ったことになってないですよ!

キラキラ笑顔のまま、何をほざいてるんですか、この人!

失礼しました(現在も進行中)ですよ!


「どういうことですか!」


思わず、声を荒らげてしまいました。

それに答えたのは、ハルクさんではなくデューノさんです。



「俺を愛せ。そして、この国を愛せ。」

「この国?」



まさか。

心臓が嫌な音を立てています。

まさか、まさか。

……嫌な予感は大体当たるので、予想したくないです。

というか、予想しなくても分かります。

だから、答えを聞きたくないです。



「そうだ。」



だから、聞きたくないです。

しゃらっぷ。

しかし、デューノさんの声は非情にも続きました。











「旧ラナン、現在はエゼナ。この国を。」











だーかーら、聞きたくなかったです!!!!

警戒していた隣国じゃないですかっ!!!!











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