いきなり花嫁とか、ふざけんなです。
「ははははっ、参ったか!」

「参りましたーー!参りましたから、やめて下さいーーー!!」

叫ぶと、

「よろしい。」

ようやく手が離れましたよ……。

ふう……。

なのに、

「ふっ……はははははははは!」

まーだ、笑ってますよ、この人っ!!

「すげぇ頭!こりゃ、酷でぇ!」

「なっ……貴方のせいですよ!!」

ほんっっっとに何なんですかっ!!

目尻に、涙が溜まってますよ!

めちゃくちゃ爆笑してるじゃないですかっ。

「ははははははははっ……はー、面白ぇ。笑った笑った。」

「笑いすぎです!」

「仕方ねぇだろ。ははははっ!」

そう言いながら、頭をポンポンされます。

……さっきみたいに、ぐしゃぐしゃにされないだけマシですが、なんか動物扱いじゃないですか?

少なくとも、年頃の女の子の扱い方ではないです。

まぁ、だからドキドキとかはしないで済んでいるのですが。

「むーーーーっ。」

「だから、膨れんなって。な?」

「なーにが、『な?』ですか、もうっ!」

「まぁ面白くてつい、な。」

そう言いながら、ポンポンしていた大きな手は、髪の毛を撫でるように変わっていきます。

意外と、優しく髪を触りますね……。

同じ手なのに、さっきと全然違います。

「あーあ、綺麗な髪が台無しだな。」

「だーかーら、ソルデさんのせいですよっ!」

「ははははっ、そうだな。」

「もーー!」

結構、髪の毛には気を使っているのに!

そうやって、膨れると……



「そんじゃ、責任持って俺が直すぜ。」



「は……?」

え、直す?

「魔法でですか?」

「違ぇよ。そうじゃなくて、俺が櫛で元に戻すってこった。」

は?

ソルデさんが?

じーーーー。

思わず、ソルデさんをじっと見てしまいます。

……うん、どっからどう見てもそんなことできるタイプに見えません。

「ソルデさんに、できるんですか?」

なんか、髪を引っこ抜かれそうな気が。

そんな私の心を読んだかのように、ソルデさんは苦笑しました。

「言っとくが、俺は結構器用だからな?」

ドヤ顔。

うーん、本当なのでしょうか。

もしそうなら、かなり意外なのですが。
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