【完】私の甘い彼氏様
「何を言ってるんだよ、美亜。この男は俺の美亜に近づいた。こうなって当然だろ」
何を言ってるんだよはこっちの台詞だ。
俺の美亜?
そんなのになった覚えはない。
私に橋戸くんが近づいた?
むしろ避けられてたじゃない。
近づいたのは私。
「橋戸くんじゃなくて私を殴ってください!橋戸くんじゃなくて私を蹴ってください!
橋戸くんを傷つけるなんて許せませんっ!」
私を殴れば良い。
私を蹴れば良い。
好きな人に避けられるのと比べたら、そんなの辛さの比にならない。
「俺がお前を殴るわけないだろう?なんでこの男を庇うんだよ、美亜」
苦虫を噛み潰したような顔をしてこっちを見ている須賀先生。
なんでこの男を庇うか?
そんなの決まってる。
「私が橋戸くんを好きだからです」
それ以外に理由なんていらない。