【完】私の甘い彼氏様



大したことない話なんだろうな~。



眠い目を擦りながら先生の次の言葉に耳を澄ませていると、




「今日からこのクラスに新しく加わる転校生を紹介する」





またまただるそうな声音で告げた。


転校生なんていつぶりだろう?


みんなテンションが一気に上がったようで、先生の話なんて一切無視で転校生が男の子か女の子か、なんて予想を楽しんでいる。

のは、私も例外じゃなくて




「絶対イケメンがいい!」




なんて目をギラギラさせている雛乙ちゃんに




「優しい人がいいなぁ」




なんて要望を告げていた。


出来れば碧以上に優しくて、私に碧を忘れさせてくれるような人。

まあ、碧より優しい人なんていないだろうし私には碧を忘れるなんて無理だけどね。



なんて、呑気に考えていたのはそれまで。

次の瞬間私の耳に聞こえてきたのは、あの頃より少し低くなった…





「はじめまして、橋戸巡です」





まさかのあの人の声だった………。


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