【完】私の甘い彼氏様
私と碧が付き合い出しても碧は心羽ちゃんを優先してしまう理由がある。
それは承知の上での告白をした。
だから、これから二人で帰れることも二人で登校できることもないのかな。
分かっててもちょっと悲しいな。
二人が並んでいるだけで胸が痛む私は、きっと心が狭いんだね。
「ごめん心羽」
「え?」
「これからは美亜を優先したいんだ…」
碧…。
でも碧のことが大好きな心羽ちゃんのことだ。
うん、だなんて言うはずない。
でも、心羽ちゃんは
「言うと思った~ぁ」
「え?」
私と碧にニコッと笑って見せた。
か…かわいいっ!
じゃなくって…。
「だって碧、私といても楽しそうにしたことないし、いっつも美亜ちゃんのこと見てたんだもん」
少し拗ねた風に言う心羽ちゃんは私にウインクした。
「それに、……碧が私といるのは同情だからね。」
「そんなことっ!」
「あるよ。今までありがとう、碧。美亜ちゃんとお幸せにね」
私は呆然と立ち尽くすしかなかった。
私に敵意剥き出しにしていた心羽ちゃんが最後にエールを送ってくれたこともそうだけど、
碧をきっぱり手放したのも意外だ。