【完】私の甘い彼氏様
それでなにかが分かった俺は、顔を覆っている心羽の手をどけて、顔を覗いた。
「なにがあった…?」
俺にしては低くて怒気が含まれている声を出していた。
「…もう、お嫁さんにいけないや……」
へへっと涙の混じった声で小さく笑う心羽。
その姿を見て、俺が守らないといけないんだと思った。
心羽の顔にできた大きな痣。
それは多分、いや絶対に、心羽の父親が作ったものだ。
今までどれだけ体に傷があっても顔には痣ができたことはなかった。
「心羽…、大丈夫だよ…」
その時の俺にはそう言うのが精一杯だった。
「じゃあ、碧がもらってよっ!責任もって私をもらってよっ!!」
そんな俺に心羽が言った。
その意味も分からないままに俺は
「分かった。俺が心羽を一生守ってやるよ」
これが心羽を守れる理由になると、その時の俺はそう思った。