【完】私の甘い彼氏様
「でも、この前……あの男が、…心羽の、父親が帰ってきたんだ」
それが俺が美亜から離れた理由。
心羽と付き合っていないからって、ほっとけるわけがない。
心羽は大切だし、あの時守ってやれなかった。
俺は今度こそ心羽を守ろうと、そう思った。
「最近心羽の具合が悪かったのは精神的な問題。母親を殺したとも言える父親が帰ってきて、自分に傷をつけてきたことが蘇って…。」
これからも、心羽が苦しいときは寄り添ってやりたい。
せめて、心羽に生涯寄り添ってくれるようなやつが現れるまで。
「でも、心羽の父親はもう暴力をしないどころか、人が変わったように心羽に良くした。だからといって、心羽の心の傷が消えるわけではないけど…」
これは俺の身勝手なお願いだって分かってる。
でも、美亜なら…
「心羽はいまでも、俺の幼馴染みで大切なやつなんだ。だから、しばらくは心羽のそばにいてやりたい。
でも俺はもう美亜を手放したくない。
身勝手だって分かってるけ「いいよ」
美亜は綺麗な涙を流していた。
「碧と一緒にいれるなら、もうなにも望まないよ」