【完】私の甘い彼氏様
「触ら…ないで…」
「え?」
「触らないで!!」
自分でも驚くくらい大きな声がでる。
私、こんなに大きな声出せるんだぁ。
とか、思ってる場合じゃなくて…。
ナンパとかするような人にこんなこと言っても逆効果。
「お前、何言っちゃってんの?」
ほら、やっぱり…。
「来いよ」
強引に腕を引っ張られる。
ここは、人がいっぱいいるこの水族館では珍しく、人混みから外れたところ。
…楽しくなるはずだった。
思い出になるはずだったのに!
「痛い…」
「だまれ」
黙れなんてなんでこの人に言われないといけないの?
今頃、碧と楽しくイルカショー見ていたはずだった。
ジンクスだってしたかった!
碧に会いたい。
「碧…」
「黙れって言ってんの、分かんねーの?」
「碧!」
「お前、ふざけんなよっ!」
男の人の気に触ったのか声を荒げて手を強く引かれた。
もう…ダメだ…。
そう思ったその時
「美亜!」
愛しい声が聞こえた……