プロポーズ
プロポーズ
「あら、冬美さんじゃない?」
突然、おなかの大きな女性に声をかけられた。
東京の都心から少し離れた、私鉄沿線の駅の近くだった。
女性は、かたわらに小さな女の子をつれていた。
「えーと……」
とっさに思い出せず、とまどっていると、
「ごめんなさい。覚えてないかしら。旧姓、森田沙織」
「あ……」
思い出した。
女子高校のときの同級生だ。
「思い出してくれた? 無理もないわね。あたし、こんなに太っちゃったし」
沙織は丸々とした顔をほころばせた。
あたしは頭をさげながら、とまどっていた。