プロポーズ
「立ち入ったこと訊いて、ごめんなさい。以前、離婚したようなこと、聞いたんだけど」
独身でこんなところに住んでいるのかと、さぐりをいれた。
「うん、前の旦那って、DVでさ。あの子も、前の旦那の子なんだけどね。でも再婚したの、二年前」
沙織は、ふふっ、と微笑んだ。
「そう……」
ため息が出る。
DVでもなんでも、二度も男に選ばれるなんて。
あたしは若いときから、ずっと結婚願望を持っていた。ちゃらちゃら遊ばず、相手をさがした。
条件だって、高望みはしなかった。年収500万。性格に特に難のないこと。それだけだ。
600万とか700万とか言ってる友だちに比べたら、おとなしいものだ。
場合によっては、450万までゆずってもいいとさえ思っていた。
でも、この歳まで結婚できていない。
「ここよ」
つれていかれた部屋は、3LDKだった。