私の中の大切なキモチ
「泉さんてほんといいお店ばかり知ってますよね。この間連れて行ってもらった和食のお店も美味しかったし、このバーの雰囲気もお酒も最高です。」
「まぁ、社会人が長くなればそれに伴って付き合いで食べに行ったりもするからいろんなお店を知っちゃうってだけよ。それより星蘭、最近仕事頑張りすぎよ?まぁ、仕事をしてたいっていう気持ちもわかんなくないわよ、もちろん。」
「そんな、全然無理なんてしてないですよ。楽しんでやってますし。まぁ、意図的に仕事を詰めてるっていうのも、否定はできませんけどね。」
苦笑いしながら答える。
泉さん行きつけのバーはオシャレで、
暗めな店内は落ち着いていて居心地もいい。
何だか、ひとりでも通っちゃいそうだな。
「ところでさ。まぁ、今のあんたは絶対断るかと思うけど、私の同期の人事部のやつがあんた狙ってるみたいでさ。今度ご飯でも、って言ってるんだけど、どう?」
「えっ、、、あ、あの、私、もう恋愛する気とか無くて、、、。すみませんが、遠慮します。」
「そう。そうよね。、、、星蘭、まだ澤村のこと、、、?」
「まぁ、そう、ですね。気にしないようにしても、やっぱり上手くいかないですね。そう簡単に忘れるには、一緒にいた時間が長すぎたし、依存していたし、、、。いっそのこととんでもなく悪いやつで、憎めれば楽なんですけど。」
「星蘭、、、」
「でも別に、やけになったりしてませんから。心配しないでください、って言っても無理かもしれませんが、大丈夫ですよ。ありがとうございます、泉さん。」
「いいのよ。昔無理矢理あんたを酔わせて、酔ったあんたから、あんたの事情を知ってしまった以上、一緒に悩んであげるのが、飲ませた悪い先輩の務めだからさ。」
いつも通り優しい笑顔で見守ってくれる
泉さんには、いつも助けられる。
美味しいお酒を程よく楽しんで、
その日はお互い家路についた。