私の中の大切なキモチ



父の会社の近くのカフェで待っていると、
父がやって来た。


「星蘭、悪かったな。助かったよ。」

「大丈夫です。丁度約束の前だったので。」

目も合わさず、無表情な父と話すのは
ずっと苦手。

うちの父は官庁勤めで頭がかたく、
昔からあまり和やかな雰囲気で接した記憶はなかった。

それに、愛蘭は体も弱くて昔から手がかかる子だったし、それゆえに甘え上手で、あの父親さえも愛蘭には弱いくらい。

昔から両親は愛蘭にべったりだったし、姉としてしっかりするのは当たり前で、、、って、よく聞くような長女の辛さを味わってきた。

両親もあの頃は体の弱い愛蘭につきっきりで大変で、私の事を考える余裕もなくて、無意識で私を傷つけることもあったけれど、やがてはその状況に慣れてしまった私と、長年意識の外にあったせいで私にどう関わっていいのかわからない両親が残った、という感じだった。

もういい大人だし、気にはしないけれど。

父と別れて家までの道を歩いていると、一樹から連絡があった。
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