好きなあの人
【緋南side】

山頂に着くと二人共寝転んだ。

「あ……れ……一……番……?」

「え……そ……ん……な……」

どうやら走ってる途中で一番列までも置いてきたようだった

「一旦どいておこう?」

それから動けるようになったのは一番列が来てからだった

「あら?貴方達早いのね?」

「「走ってきました〜」」

「えっ…?」

あり得ないだろう。

だっていくらスポーツが出来ても最後尾からここまで走ってくる人は居ないと思う。

さーちゃんに至っては足におもりをつけてる。

「休憩してまーす。」

近くのベンチに座り二人で話す。

「帰りも走ろうか〜」

「帰りも足のやつは倍増されると思うよ……」

「それでもいいよ、ひーちゃんと走れるなら」

「そう?なら、帰りもそうしよっか!」

さーちゃんは一瞬真顔になったがすぐにいつものニコニコ笑顔で頷いてくれた。

「あ、あれが一番列だった人達かな〜?」

「んー?どれー?」

「あー…やっと着いた〜」

「えぇと…樋口…さんだっけ?」

「樋口でいいよ」

「後…そちらの方は…」

「あぁ、聡琉って言います〜宜しくです〜」

「二人共凄いね!」

「すぐ追い抜いて行ったもんな!」

「……お前ら、そこら辺にしてこっちで手伝え」

昨日の優しかった男の子のが仕事の役割を決めていた。

「「はーい」」

「樋口も聡琉も行こうぜ!」

「馬鹿ッ!樋口は女だから無理に決まってんだろ!」

「力はあるし大丈夫だと思うよ〜」

「さーちゃんよりは負けるけどね〜」

「そりゃあ僕だって守りたいし負けてたらねぇ〜」

「えぇ?守ってくれるの?」

「守るよ。」

――ドキッ。

「ん?」

「どうしたの〜?」

いきなり真顔になる事なんていつもあったのに今回は違った。

「んん〜?」

「んー?」

二人で傾げながら見つめ合う

「ひーちゃん行こう〜?」

「うん〜」

手を繋ぎ仕事担当をしている男の子の所に向かった。
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