好きなあの人
【緋南side】

「よし!これでいいかな〜」

「聡琉、こっち手伝って〜」

先生に呼ばれて「行ってくるね〜」と言って小走りで向かった。

「相原君〜他に何かある?」

「あ、人が集まってきたから並べてて」

「了解〜」

小走りで向かうと靴の紐を踏んで転けそうになる。

「わわっ!?」

咄嗟に目を瞑るがいくら待っても衝撃が来ない。

「危ない」

「あ、相原君ありがとう〜」

「紐結んでから行きなよ」

「うんっ!」

ふと見た時に遠い所で聡琉も同じ事になっていた。

「ぶふっ……」

「どうしたの?」

「さーちゃんが同じことになってて」

さーちゃんがあたしの視線に気付きこちらに近づいてきた

「相原〜!どこに並べばいいー?」

「あー…樋口行ってくれる?先生のところにも行かなくちゃいけなくてさ」

「うん!」

「走らないでね」

「はぁい…」

後ろから手を繋がれる。

そんなことする人は一人しかいない。

「さーちゃんも来る?」

「残念さーちゃんじゃない」

「相原君!?」

「さーちゃんならあそこで先生に捕まってるよ」

見た事ない怖い顔……。

手を振ると一瞬にしていつもの顔で手を降ってくれる。

「行くよ」

「わっ…!」

引っ張られて皆の所に向かった。
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