イジワルな彼に今日も狙われているんです。
「もう帰んの? って、その薄着でそれはないか」
「あ、はい……ちょっと、外の空気吸いたくて」
「そか。まあ、タバコやら鍋やらで煙たいよなぁ中」
苦笑する彼の言葉にうなずきながら、話すのは初めてだけど、ずいぶん気さくな人だなあと思う。
人見知りの私でも、結構話しやすい。ちょいちょいと手招きされて何の警戒もなくそばに寄れば、尾形さんはジャケットのポケットから何かを取り出して私の手のひらに何かを乗せた。
「やる。今日外回りしてるときに配ってるのもらったんだけど、俺甘いのあんまり食べないから」
私の右手に乗っていたのは、どうやら近々発売予定の新商品らしいロリポップキャンディーだった。
ストロベリークリーム味と書いてあるそのパッケージはなるほどかわいらしく甘ったるそうだ。だけど私には大好物だから、思わずパッと破顔して目の前の人物を見上げた。
「あっ、ありがとうございます! うれしいです!」
「そりゃ良かった。甘いの好き?」
「はい! 大好きですー!」
ついニコニコと満面の笑みで答える。その笑顔のまま手の中のキャンディーを眺めていた私は、そこでようやくハッとした。
……いくら甘い物大好物とはいえ、この反応は私、成人した大人としては単純すぎじゃない?
とたんに恥ずかしくなって、そろりと傍らの尾形さんをうかがってみる。
案の定、尾形さんはタバコを咥えたまま私を見下ろしてにやにやと笑っていた。
「あ、はい……ちょっと、外の空気吸いたくて」
「そか。まあ、タバコやら鍋やらで煙たいよなぁ中」
苦笑する彼の言葉にうなずきながら、話すのは初めてだけど、ずいぶん気さくな人だなあと思う。
人見知りの私でも、結構話しやすい。ちょいちょいと手招きされて何の警戒もなくそばに寄れば、尾形さんはジャケットのポケットから何かを取り出して私の手のひらに何かを乗せた。
「やる。今日外回りしてるときに配ってるのもらったんだけど、俺甘いのあんまり食べないから」
私の右手に乗っていたのは、どうやら近々発売予定の新商品らしいロリポップキャンディーだった。
ストロベリークリーム味と書いてあるそのパッケージはなるほどかわいらしく甘ったるそうだ。だけど私には大好物だから、思わずパッと破顔して目の前の人物を見上げた。
「あっ、ありがとうございます! うれしいです!」
「そりゃ良かった。甘いの好き?」
「はい! 大好きですー!」
ついニコニコと満面の笑みで答える。その笑顔のまま手の中のキャンディーを眺めていた私は、そこでようやくハッとした。
……いくら甘い物大好物とはいえ、この反応は私、成人した大人としては単純すぎじゃない?
とたんに恥ずかしくなって、そろりと傍らの尾形さんをうかがってみる。
案の定、尾形さんはタバコを咥えたまま私を見下ろしてにやにやと笑っていた。