FAIRY TRAPPER!


店を出てからすぐには帰路につかず、わざと知らない道へと進んで行った。そんな気分だった。

本当にバカみたい。

優真とあたしは100%運命の赤い糸で結ばれているのだと思っていた。

そんなふうに考えてた自分が心の底からバカバカしく思える。


「ふふっ、」


呆れて笑っちゃう。笑えるよ、こんなの。

だけど、なぜか視界が歪む。

立ち止まってみると全然知らない場所で、ここならいいかと思った。知り合いも少ないはず。

そう考えたら気が緩んで涙腺も緩んで、涙がどんどん溢れ出てくる。


ずっと好きだった。

嘘偽りなく、冗談でもなく、優真のことが好きだった。

バカだし、アホだし、気は利かないし、大事なところで空気は読めないし、おまけにあたしの気持ちにいつまで経っても気づかない鈍感野郎だけど、大好きだった。

あたしはどこで間違えたんだろう。

もっと直球に行くべきだったのだろうか。


でもあたしは、優真から好きって言って欲しかったから。

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