FAIRY TRAPPER!


それって欲張りなこと?

手で涙を脱ぐって鼻を啜りながら再び歩みを進める。

人通りの少ない道だけど、たまにすれ違う人がギョッとした顔で見てくるから、すごい顔をしているのかもしれない。

ウォータープルーフだけどマスカラが取れているかもしれない。ファンデーションは崩れてるかもしれない。

だけど全部優真のためにしたものだからもうどうでもいいや。


一度立ち止って、カバンからお気に入りでもないタオルを取りだし目に押し付けた。

もう涙は止まった。

反対にすぐには止まってくれない鼻水をずびずびと啜りながらティッシュを取りだし鼻をかむ。

ふう、と一息ついて気持ちを落ち着かせる。


そして再度歩き始めた。

あたしはこれまで優真にたくさんアピールしてきたつもりだった。幼稚園児だった頃からずっと。

いつだって手を繋いで家に帰ったし、小学生になるとか弱かった優真を守ってあげた。バレンタインにはチョコレートをあげて、誕生日やクリスマスは一緒にケーキを食べた。

中学生になると、周りの子に見せつけるようにくっついてボディータッチしたり、かわいい服を着てデートに誘ったりした。

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