FAIRY TRAPPER!


どうしようもない、どこにもやることのできない気持ちが溢れて爆発する。


「クソ野郎ッ!!!!」


そう叫んで、近くにたまたまあった空き缶を思いっきり蹴った。

すると、物に当たった罰なのか、悪口を言った罰なのか、壁に跳ね返った空き缶が脛にクリーンヒットした。


「ッッた…、」


痛みに耐えかねて患部を押さえながらその場にしゃがみこむ。

完全に自業自得だ。

痛みによる生理的な涙が出てくる。

なんで今日はこんなにツイてないんだ。
嫌になっちゃう。

顔を上げてみると、ここがどこだか全くわからなくてさらに凹む。

どうやら知らない間に1人で引き返せないくらいに遠くまで来てしまったらしい。

スマホでマップを見ながら帰ればいいだけの話なんだけれど、どうにもやる気が湧かなくてそのまましゃがんでいた。


と、その時、あたしを誰かの影が包んだ。

吃驚したあたしが顔を上げるとそこにいたのは、


「…レオ」


柊 玲音(ひいらぎ れおん) 通称レオ

この辺で有名な暴走族──紫苑(しおん)の総長だった。

< 13 / 35 >

この作品をシェア

pagetop