FAIRY TRAPPER!
どうしようもない、どこにもやることのできない気持ちが溢れて爆発する。
「クソ野郎ッ!!!!」
そう叫んで、近くにたまたまあった空き缶を思いっきり蹴った。
すると、物に当たった罰なのか、悪口を言った罰なのか、壁に跳ね返った空き缶が脛にクリーンヒットした。
「ッッた…、」
痛みに耐えかねて患部を押さえながらその場にしゃがみこむ。
完全に自業自得だ。
痛みによる生理的な涙が出てくる。
なんで今日はこんなにツイてないんだ。
嫌になっちゃう。
顔を上げてみると、ここがどこだか全くわからなくてさらに凹む。
どうやら知らない間に1人で引き返せないくらいに遠くまで来てしまったらしい。
スマホでマップを見ながら帰ればいいだけの話なんだけれど、どうにもやる気が湧かなくてそのまましゃがんでいた。
と、その時、あたしを誰かの影が包んだ。
吃驚したあたしが顔を上げるとそこにいたのは、
「…レオ」
柊 玲音(ひいらぎ れおん) 通称レオ
この辺で有名な暴走族──紫苑(しおん)の総長だった。