リナリア
「一華!久しぶりね!颯、はじめまして!」

ママの日本語、久しぶりに聞いたわ。

私には今だにイタリア語かフランス語だもん。

一華と颯くんは交互に抱き締められてる。

「一華ちゃん、結婚おめでとう。」

そう言って、花束を渡す双子の兄の李斗(りと)。

「ありがとうございます!相変わらずイケメン王子ですね!花束似合うっ。」

興奮ぎみの一華。

李斗は大学時代から、王子って言われてたからね。

私とは大学違ったけど、女の子達の噂はうちの大学まで流れてきてた。

でも、すごくモテても誠実で、きちんとした付き合いしかしない真面目王子だった。

よく考えたら、李斗は私の理想男子よ。

「あれ?琉架?なんで琉架もいるんだ?李蘭とは切れたはずだよね?」

李斗、怖い顔。

琉架と李斗は大学の時に、私を交えて何回か飲んだりしたことあるから、そのあとのこともスペインに転勤になったとき、話してある。

かなり怒ってたけど。

本人真面目だから、許せなかったみたい。

「久しぶり、琉架。今さら李蘭を好きだとか言わないよね?いくらでも伝える機会はあったはずだ。それをしなかった意気地無しの君に、李蘭はまかせられないからね。これから先、李蘭が何かに悩んでいる時があったとして、琉架みたいに尻込みするような相手じゃ、いつまでたっても悩み続けなきゃいけないからね。李蘭もうまく伝えるのが得意なわけじゃないから。」
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