私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】
「…ヤス!」
会議室の前の廊下に、窓の外を見て立っているヤスを見つけた。
「永井」
振り返ったヤスの表情は、いつもよりも暗く見える。
「な…何見てるの?窓の外なんか見て」
ヤスが見ていた方向を見ると、そこにいたのはー…
「あれって…」
目を見開いて驚いた。
校門の前にいたのはー…
「歩いてるのが俺の母親で、校門の前で子供を抱いて待っているのが再婚相手」
窓の外を見ながら、ヤスが言った。
「え…どうして学校にー…」
「昨日のことが学校に通報されたと聞いて、いちいち説明すんのめんどくさいから母親に出て来てもらった。そのほうが手っ取り早いし、ついでに昨日買ったプレゼントも渡したかったから」
淡々と話す、ヤス。
確かに事情を説明してもらうには、イチバン信用してもらえると思う…けど、ヤスの気持ちは?
「永井もごめんね。なんか、俺と知り合ってから呼び出しくらってばっかで」
「え?!」
さっきまで窓の外を見ていたヤスの視線が、こちらに向いていた。
「迷惑ばっかかけてるよね」
「う…ううん!私こそ…」
「もう迷惑かけないから」
「…え?」
もう迷惑かけないからって、どういう意味?
「でも、ベビーショップにいただけで通報されるって最近の世の中変だよな。どういう目で俺たちを見ていたんだか」
そう言いながら、ヤスが廊下を歩き始めた。
「そうだよね…」
さっきの言葉の意味を聞きたいけど、なんか聞ける雰囲気じゃない。
ねぇ、ヤス。
どういう意味で言ったの?