私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】
カタン。
「!」
美術室と準備室を繋ぐドアが開く音がした。
「…っ」
ドクン、ドクン。
緊張からか、身体が強張る。
「永井、終わったのか?」
背後から聞こえる声で、沢先生が準備室から来たのだとわかった。
「…後、もう少しです」
振り返らずに、そう答えた。
「そうか…」
早く、準備室に戻ってよ。
まだ、30分ぐらいはかかるのに。
キィ…
「!」
椅子を引く音と、スーツが擦れる音。
背後には、消えない気配。
…何で?
恐る恐る振り返ると、窓際の席に座った沢先生が目に入った。
「…っ」
何でいるの?
きゅっと、胸元で拳を握る。
沢先生は窓の外を見ているだけで、何も喋らない。