私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】



「ここなら、誰にも聞かれないかと思って」


そう言いながら、沢先生は来ていたジャケットを脱いだ。



「寒いだろ?着てろ」

ふわっと、肩にジャケットが掛けられる。

「え!?沢先生は…」

「大丈夫だから」

ジャケットを脱ぐと、ワイシャツの上にセーターを着ているだけの沢先生。


「でも…」

「いいから」

そう強く言われ、押し黙る。



ジャケットからは、かすかに絵の具の匂いがする。



「…補講の最終日に告白しただろ?」

ドキン!


沢先生がフェンスの外を見ながら、喋る。


「…はい」


その後ろ姿をじっと見つめる。



「今さらって思っただろ?」


ふっと笑いながら、沢先生が振り返った。









< 63 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop