私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】
「ここなら、誰にも聞かれないかと思って」
そう言いながら、沢先生は来ていたジャケットを脱いだ。
「寒いだろ?着てろ」
ふわっと、肩にジャケットが掛けられる。
「え!?沢先生は…」
「大丈夫だから」
ジャケットを脱ぐと、ワイシャツの上にセーターを着ているだけの沢先生。
「でも…」
「いいから」
そう強く言われ、押し黙る。
ジャケットからは、かすかに絵の具の匂いがする。
「…補講の最終日に告白しただろ?」
ドキン!
沢先生がフェンスの外を見ながら、喋る。
「…はい」
その後ろ姿をじっと見つめる。
「今さらって思っただろ?」
ふっと笑いながら、沢先生が振り返った。