私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】
「夏に、永井の想いに惹かれていったのは嘘じゃない。けど加藤に、¨途中で逃げるぐらいなら、始めから受け取るなよ¨って言われて、何も言えなかった」
沢先生は再び、背を向けて話し始めた。
「加藤の行った通りだったからだ。結婚しているのもあるが、それよりも俺が教師であること。生徒を正しい道に導かなければならない立場の人間が、生徒と不倫してどうするんだって」
寒さのせいなのか、沢先生の背中が縮こまる。
「今もそうだ。離婚話は出ているけど、まだ正式には離婚していない。なのに、俺は永井に想いを伝えた」
ドクン。
¨俺は、永井が好きなんだ¨
補講最終日の告白を思い出す。
「加藤に、永井を渡したくなかったから」
ドクン!
沢先生が真剣な表情で振り返った。
「…っ」
真剣な目をした沢先生と目が合い、息が苦しくなる。
…ヤスにー?
「永井に想いを知ってもらいたかったのもあるけど、加藤に対するけん制でもある。大人気ないけど」
苦笑いをしながら、沢先生は言った。
「…」
…何か言わなきゃいけないのに。
「今度は離婚が成立するまで…いや、永井が卒業するまでは、今以上のことは望まない。けど、俺が永井のことを好きだということは覚えていて欲しい」
頭が真っ白で、言葉が思い浮かばない。