私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】
キーンコーンカーンコーン…
「予鈴か…」
屋上にあるスピーカーから、予鈴を知らせる音が鳴った。
大きな音で聞こえているはずなのに、遠くで鳴っているように聞こえる。
「…永井」
「!」
沢先生の大きな手が、肩に触れた。
「授業に遅れないように、教室に行けよ」
借りていたジャケットが、沢先生の手によって脱がされる。
「…はい」
温かった身体にひんやりと、冷たい風が当たる。
「大丈夫か?」
「!」
冷たくなった沢先生の手が、頬に触れた。
顔色を伺うように見つめられる。
「…は…い」
目を合わせていられなくなり、俯いた。
声も震えてしまった。
寒さのせいではない。
「先に行くから。授業遅れるなよ」
頬から手が離れ、ジャケットを羽織りながら沢先生は屋上から出て行った。