私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】





ヤスー…?
 

俯いていた顔を上げると、正面を向いたままの沢先生の顔。


ゆっくりと、沢先生と同じ方向に顔を向ける。




「…ヤス」


目の前に立っていたのは、ヤスだった。




驚いた顔をしていたヤスだったが、すぐにいつも通りの表情に戻った。




「永井どうしたの?」


「え!?あ…」


ヤスと顔を合わせるのは、補講の最終日以来。

そのせいなのか、緊張で言葉が思いつかない。




「熱あるみたいだから、保健室連れて行くところ」


代わりに答えたのは、沢先生。



「そっか。大丈夫?」


ヤスは笑顔で言っているように見えるが、やっぱりどことなく距離を置かれているような気がした。



「じゃ、お大事にね」



横を通り過ぎていくヤス。



「…っ」



ヤス!!


声に出して呼びたい。




けど、私は避けられてるー…




沢先生の首に回す腕に、力がこもる。





< 70 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop