私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】


「…加藤」

「!」

通り過ぎて行ったヤスを呼び止めたのは、沢先生だった。



「何ですか?」


ヤスが返事をしても沢先生は振り返らないため、今ヤスがどんな表情をしているのかわからない。


 
「お前、俺に言ったよな?途中で逃げるぐらいなら、初めから受け取るなよって」


…どうして、今そんなことをー…


下から沢先生を見上げても、沢先生の表情が見えない。



「そっくりそのまま、お前に返すよ」


え?


沢先生が顔だけを後ろに向けた。





「避けてばかりで、逃げてるのは加藤の方だろう」


ドクン。




沢先生の言葉で、熱で目が回っていた焦点が合った。


ドクン。

ドクン。



どちらの顔も見れないため、今どんな表情をしているのかわからない。



緊張で身体が強張る。




< 71 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop