私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】
「…」
静かだった廊下が、さらに静かに感じる。
ヤスは何も言わない。
沢先生もヤスの返事を待っているようで、喋らない。
ドクン、ドクン。
私の心臓だけが大きく鳴ってしまっているような気がする。
「あれ!?まだここにいたの!?」
「!」
真奈の大きな声が聞こえた。
「もう保健室かと思ってたー!って…どうしたの?」
背後から、真奈の足音が聞こえる。
「珍しい組み合わせだね」
ドキ。
さっきとは違う意味で、心臓が鳴った。
「あれ、ちょっと!!もう話いいの?」
さっきの真奈とは違う足音。
ヤスが行ってしまったんだと感じた。
「あゆ、良かったの?加藤行っちゃったけど」
真奈が前に回り込んできた。
「え…あ…うん」
少し、ホッとした。
「…永井の鞄持ってきたのか?」
そう言うと、沢先生は再び歩き出した。
「持ってきたよ。後、あゆママにも電話しといた。迎えきてくれるって」
「気がきくな。てか、永井のお母さんとも仲良いのか」
「何回か遊びに行ったことあるしね。ね、あゆ」
「…うん」
沢先生と真奈は楽しそうに会話している。
相槌を打つだけで、会話の内容が入ってこない。